エアコン運転 最小能力の重要性
エアコン運転 最小能力の重要性
コンプレッサーを理解しよう
- コンプレッサーは、室外機の中にある圧縮機
コンプレッサーとは、エアコンで最も重要な部品の一つで室外機の中にある圧縮機のことです。
気体(冷媒ガス)を圧縮して圧力を高め、液化する装置のことです。
コンプレッサーのシリンダー内で、気体(冷媒ガス)は、圧縮される時に空気中から「熱」を吸収して、高熱になります。
気体と周りの空気との間で熱交換が行なわれているのです。
この性質を使って、冷房や暖房をしています。
- コンプレッサーは『心臓』みたいなもの
人に例えると、コンプレッサーは『心臓』、冷媒は『血液』にあたります。心臓が血液を循環させるように。コンプレッサーが冷媒を、循環させています。
- コンプレッサーは、大食漢?
エアコンの消費電力の約8割はコンプレッサーが消費していますので、コンプレッサーの性能の良しあしが省エネに大きく影響してきます。
コンプレッサーはエアコンの省エネ性を決める上でとても大事な部分と言えます。
- コンプレッサーの種類
コンプレッサーには大きく分けてロータリー方式とスクロール方式の二つの方式があります。
- ロータリー方式
ロータリー方式には、シングルロータリーとスイングロータリーがあります。
ロータリー方式は、主に家庭用エアコンに採用されていて、ローラーの回転運動で吸入⇒圧縮⇒吐出を繰り返し行う方式。
パワーが必要な時に発揮しやすく、負荷が小さい空調に適していています。
シングルロータリーを改良したのがツインロータリー方式です。
ツインロータリーは、ローターが二つで各々反対方向に回転しています。
そのため常に反対方向に同じ力がかかるため、振動が少なくなめらかな運転ができるのが特徴です。
また、運転全域で、高い効率を維持できることから、高級モデルに採用されています
ただし二つのローターを同時に運転していて、一つだけでの運転は出来ません。
これをさらに改良したのが、エナジーセーブコンプレッサーです。
- エナジーセーブコンプレッサーのメリット
エナジーコンプレッサーは、
1シリンダー、2シリンダー、両方の運転が可能な容量可変型コンプレッサーで、とても省エネ性能に優れています。
2つのシリンダーを制御することで、パワフルな運転も能力を絞った運転も可能となっており、低負荷~高負荷までいつでも高効率運転が可能です。
小さな能力の運転から、大きな能力の運転まで、省エネ性能に優れています。
運転のムラ・ムダを省いた、高効率運転を実現している理由は、
エアコンの心臓部、コンプレッサーの圧縮部を2つのシリンダーで構成して、
運転開始の大きな能力を必要とする時は2シリンダーで行い、
室温が設定温度になった後などの小さな能力を必要とする時は
1つが休んで1シリンダーで運転しています。
このように、必要な時に必要な能力を適確に達成させることができ、運転のムダとムダを、ひいては電気代を徹底的に節約することができます。
- スクロール方式コンプレッサーについて
固定スクロールと旋回スクロールの2枚の渦巻き羽根で構成され、後者が回転し、吸入⇒圧縮⇒吐出を繰り返し行う。
ピンポイント条件で高効率の運転が可能な半面、低負荷運転が苦手です。
振動が小さいことがメリットの一つです。
ツインロータリー方式は回転数だけで能力を可変しているが、
エナジーセーブコンプレッサーは、回転数の可変に加え、2シリンダー運転と1シリンダーを切り替えています。
エナジーセーブコンプレッサーの利点
住宅構造によって、冷房負荷比率は大きく異なる
上の表を見ていただきたい。
例えば、一般木造住宅で六畳の部屋の場合、屋外の温度が29度、部屋の設定温度が27度、在室は一名で、消費電力60wの時,
0.27kWの能力となっていますね。
つまり、この能力まで小さくできない場合は、コンプレッサーをON OFFさせるさせることになります。
コンプレッサーをON OFFさせるをいうことは、そのたびに起動電力がかかることなります。
無駄な電気代がかかるということです。
エナジーセーブのコンプレッサーのように、非常に小さな能力まで絞り込むことができるなら、連続運転が可能ということになります。
コンプレッサーをON OFFさせないわけですから、無駄な起動電力がかかりません。
無駄な電気代がかからないという事です。
その上に、室温の変化が少なくとても快適です。
いまの住宅は気密・断熱性が高いので、 エアコンの最少能力が低ければ運転時のムダな消費電力を抑えられます。
気密性・断熱性の高い住宅は、より小さい能力が求められています。
エアコン使用の約8割は、設定温度に到着した後の安定運転ですので、
安定運転の時は、最少能力での運転が必要であり、電気代に差がつくことになります。
エアコンの省エネ性能について考える
- 省エネは、実使用時を考えよう
エアコンの省エネ性能は、カタログや家電量販店の表記と、実使用時では、大きく異なるので、
ここでは、実使用時の省エネ性について書いてみることにします。
- 最小運転能力の重要性
エアコンの電源を入れると、室内機では、ファンの運転が始まり 、室外機では、コンプレッサーの運転が始まります。
省エネ性能に大きく関係するのが、実は、コンプレッサーの運転なのです。
コンプレッサーは、冷気や暖気を作る大本の部品なのですが、この部品を省エネ性能からみた大切なところは、
いかに小さな能力で運転が続けられるか、というところにあります。
今のエアコンは、インバーター方式ですので、コンプレッサーの能力は、可変するのですが、この可変の大きさに加え、
省エネ性能をみる時に大事なことは、最小運転能カだというところは、多くの人が認識していません。
- 簡易的 省エネ性能の表記
家電量販店などでは、省エネ性能をイメージ的に表わす☆(星)の数で説明されたりしますが、
これでは、実使用時の省エネ性能とは、大きくかけはなれてしまいます。
さて、エアコンの省エネ性能は、コンプレッサーの最小運転性能にあると書いた理由を次に書いてみます。
- APFは、実使用時の省エネ性能を表していない
エアコンの電源を入れ、設定温度に到達するまでは、コンプレッサーは連続で運転されますので、
この様な時の省エネ性能は、APFと呼ばれる数値を見れば、比較することができます。
いわゆる効率を数値化したもなので、大きい程省エネ性能が良いことになります。
大切なポイントは、このAPFの性能が実使用での省エネとイコールにならないということです。
APFは、コンプレッサーが運転を続けている時の省エネ性能を表しているものなので、
部屋を設定温度に維持する為の省エネ性能ではないということです。
- 全運転時間の8割程になる安定運転
設定温度になった後は、エアコンとして安定運転に入りますので、ここからが最小運転性能が省エネに大きく効いてくることになります。
例えば、暖房で20度に設定したとしましょう。
20度の設定温度を維持する為に必要な熱量が多すぎる場合、
一般的な、エアコンは、コンプレッサーの運転を止めます。
その後、設定温度が維持できなくなった時に、コンプレッサーの運転を再開します。
この時の電気消費量は、起動電力量といって、とても多くの電気を使ってしまいます。
- 起動電力を減らそう
つまり、この起動電力量を少なくすることが、省エネ性能を高めることになるのです。
要は、運転を止めなければ良いことになります。
それには、設定温度を維持するのに必要な熱量だけを発生できれば良いことになりますので、
できるだけ小さな能力で、運転を止めないコンプレッサーが有利になってきます。
- 東芝 RAS-C_DRシリーズのデュアルコンプレッサー
2017年2月現在は、東芝から発売されているエアコンRAS-C_DRシリーズに、デュアルコンプレッサーとの名称で塔載されています。
東芝エアコンの中でも最上位モデルですが、超省エネエアコンとして発売されています。
とにかく長い時間エアコンを使いたい方(介護されている方の部屋、ペットを飼っている、寝ているときもつけっぱなし)には、
最適な一台だと思います。